8月から始まったロデジャー&アルクエサーの日程も終りにさしかかって、そろそろ移動しなきゃなと考えていた夕暮れ時、滞在しているキャンプ場の反対側がなんだか騒がしい。「収穫祭はもうおわったはずだけど…?」なんて聞き耳を立てていると、どうやら毎度の夜通しのお祭りとは雰囲気が違っている。
気になって覗きにいってみると、昨日まで何もなかった空き地に人工壁ができている!
壁にはスタートホールド&スタンスだろうガバと、真上にむかって等間隔にガバが並ぶ…。
「これは…。」
なんて思っていると、おじいちゃんMCが「エントリーはここに名前を書くんだ。」とそのMCはノバトじいちゃんだ!ふと目をやるとダニ=アンダラーダに当然エデュもいる!こうなったら流れにノらないわけがない。名前を記帳して急いでシューズとチョークバッグを取りにもどって、自分の名前が呼ばれるのを待った。
僕はコーラを飲みながら、みんなはビールを飲みながら、それぞれの名前がノバトじいちゃんに呼ばれると、目標のホールドまでドーン!と跳んでブラ~ンとぶら下がる。目標のホールドがひとつずつ遠くなるごとに、一人また一人と、目標を損ねて脱落していく。
何度か回を重ねて40人程いた参加者も僕を含めて8人まで削られた!
ここまで残れただけで僕のレンジはもう限界だ。次の目標はあの緑のホールド、もう普通にやってたら届くわけがない…。自分の番がきて名前が呼ばれる、スタートホールドに手をかけ、スタンスを片方だけスタートホールドにセットして当をつけて、手に足ランジで飛び出した!
身体はホールドに向かわずに、壁から引き離されて遥か後方へ…。
普段やらないようなムーブが百々の詰まりで咄嗟にできるはずもない。
それでもノバトじいちゃんは僕の名前をカタコトで呼んで「ヤマダサン、ムイビエ~ン!」と言ってくれる。
会場は「チナ!チナ!」と中国人とカン違いしている様だ。日本人だ。
さらには早々に脱落した、僕と同じくらいの身長の少年が寄ってきて、「おまえ、よくやったな。ウェルダンだぜ。」と。
少年よ、なぜ君のもの言いは、上からなんだ?